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プランナーに訊く「あのモデルのデザインワーク」#2 HAMPTON Ⅱ ― 前編 ―

2021.02.11

SHETLANDFOXの歴代モデルを掘り下げて紐解く連載。ファッション好きでもメンズシューズのことは実はよく知らない...そんなブランドSP担当者E子が、開発にまつわるここだけの話を担当プランナーから聞き出します!


E子 今日はシェットランドフォックスの中では独特の個性を放つハンプトンⅡについて、プランナーの邉見さんに伺います。

邉見 シェットランドフォックスといえばケンジントンⅡに代表される内羽根でドレッシーなシューズのイメージが強いと思います。このハンプトンⅡはそのイメージをくつがえすカジュアル要素を盛り込んだシリーズ。

E子 なぜこのシリーズを作ろうと考えたんでしょうか?

邉見 シェットランドフォックスの再デビュー後、日本人の足に合うメイドインジャパンのドレスシューズづくりに取り組んできました。おかげさまでファッション、靴好きのお客様のご支持を得て、ブランドを軌道に乗せることができました。そんなおしゃれでこだわりのある人たちに向けて、オフで履けるようなシェットランドフォックスの靴を作りたいと考え開発されたのがハンプトンシリーズです。

発売になった2016年当時はバイヤーや売り場になかなか受け入れられなくて。働き方改革の流れがあり、オンオフの境界があいまいになってきた背景も追い風となって、今では取り扱い店も増え、すっかり浸透しています。

E子 まさに今の時代に履きたいシリーズですね。

邉見 そうですね。今のニューノーマル時代には、かちっとしたドレスシューズよりリラックスしたい気持ちもありますから。

E子 ではデザインについてお聞かせください。

邉見 デザインは重みがあって無骨な感じを目指したのですが、シェットランドフォックスのこれまで築き上げてきたイメージを崩さずに、ちょうどいいバランスでラフさを表現するのにかなり苦労しました。



邉見 何度もデザイナーと話し合いを重ね、シェットランドフォックス特有のくびれのある木型や上質な革素材はそのままに、製法にはブリティッシュメイドのカントリーシューズによく見られる重厚感のあるスリットタイプのウエルトを使用したグッドイヤーウエルト式製法を採用しました。

E子 見た目にもすごくボリュームがありますが。

邉見 切り込みの入ったウエルトの一方をアッパーの側面に添わせて掬い縫いしているのですが、そうするとコバ周りにボリュームが出て存在感のあるボトムに仕上がります。かかとまでぐるりと縫い回しているので重厚感が際立ちますね。 シェットランドフォックスの特徴でもある踏まず部分のくびれ、他のスリットウエルトの靴にはあまり見られません。くびれてるがゆえ、スリットウエルトを縫い上げるのに高度な技術が必要なんですよ。

E子 また職人泣かせなことしたんですね...。



邉見 その反面、アッパーには他のシェットランドフォックスのシューズ同様、上質な革素材を使いたいと思い、いくつかの候補の中からシューズには焦がし仕上げが美しいイタリア・オズバ社のバーニッシュカーフを、ブーツはもっとカジュアルに寄せたかったので、シボが特徴的なフランス・アノネイ社のエンボスドカーフを選びました。ブーツは足首に革が当たって馴染むまでに時間がかかりますが、エンボスドカーフを使うことで足あたりを良くし、それを解消しているんです。

E子 デザインによってアッパーの革素材を変えているとは、ここにも細やかなこだわりがあるんですね。




ハンプトンⅡ  担当プランナー
邉見 剛


通勤電車ではついつい乗客の足元が気になってしまうのは企画マンの性でしょうか。週末は4人の子供のパパとして日夜楽しく奮闘しております。いつか彼らが大人になった時に誇れる逸品を残したいですね。


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